前回、インフレの話をしました。
「何もしない」にもリスクがある、という話でした。
では、どうすればいいのか。
今回は、その答えの中心にある考え方を紹介します。
複利(ふくり)という仕組みです。
難しそうな名前ですが、中身はとてもシンプルです。
1雪だるまを転がしてみる
小さい頃、雪だるまを作ったことはありますか。
最初の一玉は、なかなか大きくなりません。
手のひらサイズの雪玉を、必死に転がします。
でも、ある程度の大きさになると、様子が変わります。
一回転がすだけで、表面にたくさんの雪がくっつくようになる。
大きくなるスピードが、どんどん速くなっていくのです。
これが、複利のイメージです。
最初はゆっくり。
でも、途中から加速していきます。
2単利と複利、何が違うのか
お金の増え方には、2つのタイプがあります。
利息がつく
利息がつく
単利は、最初の雪玉のサイズがずっと変わらないイメージです。
複利は、増えた分もまた雪玉の一部になり、次はその大きさから転がり始めます。
だから同じ金額、同じ利率でも、複利のほうが最終的に大きく育ちます。
しかも、時間が長いほど、その差はどんどん開いていきます。
3数字で見る、複利の力
実際の数字で見てみましょう。
毎月3万円を、年利5%(複利)で積み立てたと仮定します。
※ 年利5%で毎月一定額を運用できたと仮定した、あくまで一例です。実際のリターンを保証するものではありません。
注目してほしいのは、増え方のペースです。
10年目から20年目までの10年間で、資産は約760万円増えています。
でも20年目から30年目までの10年間では、約1,270万円も増えています。
同じ「10年」なのに、増える金額がどんどん大きくなっている。
これが、さっきの雪だるまです。
後半になるほど、加速していくのです。
425歳で始めるか、35歳で始めるか
複利には、もう一つ大事な性質があります。
「時間」そのものが、いちばんの武器になるということです。
同じ毎月3万円を、65歳まで積み立てるとします。
相談者10年くらい遅く始めても、大きくは変わらないですよね?
お金の先生実は、ここが一番差がつくところなんです。
積み立てた元本の差は、約360万円。
でも、最終的な差は、約2,100万円にもなります。
10年早く始めただけで、これだけの差が生まれるのです。
「もう35歳だから遅い」という話では、決してありません。
大事なのは、25歳と35歳のどちらが正解か、ではなく——
今日が、これから始める中でいちばん早い日だということです。
5複利を味方につける、たった2つのコツ
複利の力を活かすために、必要なことは多くありません。
- できるだけ早く始める
雪だるまが加速するまでには、時間がかかる。だから、早いほど有利になる - 途中でやめない
雪だるまを転がすのをやめると、そこで大きくなるのは止まってしまう
金額の大きさよりも、実はこの2つのほうが重要です。
次回お話しする新NISAは、この「複利を長く育てる」ための、国が用意した仕組みです。
- 複利は、利息にも利息がつく仕組み。雪だるまのように、後半ほど増え方が加速する
- 同じ積立額でも、始める時期が10年早いだけで、最終的な差は驚くほど大きくなる
- 複利を味方につけるコツは「早く始める」こと、そして「途中でやめない」こと
次回予告:第5回は「新NISAの仕組み」です。
複利を長く育てるために、国が用意してくれた制度があります。
「非課税」の本当の意味と、つみたて枠・成長枠の使い分けをお話しします。